2020年東京オリンピックの男子マラソン代表を決める「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」が9月15日、行われる。
MGCは明治神宮外苑発着で行われる。出場基準を満たした男子31人、女子12人のトップ選手が“一発勝負”で競う。これまで選考に当たっては、主観が入ったものである感が拭えず、中には不公平だという印象を与えていましたが、やり方を大転換し、今回は一発勝負の重圧の中、実力を発揮する「調整能力」を出し、結果を出した人を選考するという客観性に基づいた選考となった。
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MGCはどのような大会なのか
男女共に行われる
MGC出場者は、2017年8月の北海道マラソンから、2019年3月に行われた名古屋ウィメンズマラソン2019までの大会で男子女子選手とも選出されました。
北海道マラソン【男子】2:15:00(1位)2:13:00(6位以内)
【女子】2:32:00(1位)2:30:00(6位以内)
さいたま国際女子マラソン【女子】2:29:00(3位以内)2:28:00(6位以内)
福岡国際マラソン【男子】2:11:00(3位以内)2:10:00(6位以内)
大阪国際女子マラソン【女子】2:28:00(3位以内)2:27:00(6位以内)
別府大分毎日マラソン【男子】2:11:00(1位)2:10:00(6位以内)
東京マラソン【男子】2:11:00(3位以内)2:10:00(6位以内)
びわ湖毎日マラソン 【男子】2:11:00(3位以内)2:10:00(6位以内)
名古屋ウィメンズマラソン【女子】2:28:00(3位以内)2:27:00(6位以内)
上記以外にも下の条件を満たせば、ワイルドカードとして出場可。
- 国際陸上競技連盟が世界記録を公認する競技会(2017年8月1日 – 2019年4月30日)において決められたタイムをクリア。
- 男子2時間08分30秒以内、女子2時間24分00秒以内
- 期間内の上位2記録の平均が男子2時間11分00秒以内、女子2時間28分00秒以内
- 第16回世界陸上競技選手権大会8位入賞者(該当者なし)。
- 第18回アジア競技大会3位入賞者(井上大仁と野上恵子が該当するが、いずれも大会時点で出場権獲得済)。
- MGCシリーズ各大会において、気象条件等によりファイナリストの資格を1名も満たさなかった場合、強化委員会が判断した競技者。
オリンピック出場選考基準は?
残る1枠は日本陸連が指定した「ファイナルチャレンジ」対象大会で、設定記録に到達した記録最上位が選ばれる。該当者がいない場合はMGC3位が五輪切符を得る。
男子は31人、女子は12人で争われる。コースは発着点を除き、東京五輪とほぼ同じ。
上位2人が東京五輪の代表に内定。
残り1人は「MGCファイナルチャレンジ」と呼ばれる指定の3大会で、派遣設定記録を突破した選手。
その該当者がいない場合、MGCの3位選手が代表権を得る。
MGC当日のスケジュールは
◆号砲は?
男子が午前8時50分。 女子は午前9時10分。明治神宮外苑の「いちょう並木」が発着地点となる。
◆コースは?
明治神宮外苑いちょう並木~四ツ谷~水道橋〜神保町〜神田~日本橋~浅草雷門~銀座~新橋~芝公園~日本橋~神保町~二重橋前〜明治神宮外苑いちょう並木
コースは東京五輪とほぼ同じで、新国立競技場が完成していないため、明治神宮外苑の「いちょう並木」発着となる。それ以外は五輪本番同様。
男子はTBS系列、女子はNHK総合で生中継。
注目選手は?
■男子展望
大迫、設楽、井上、服部の「4強」を中心に争われそうだ。箱根駅伝で活躍した選手が名前を連ねています。
●大迫 傑
2時間5分50秒の日本記録を持つ。スピードとスタミナを兼ねるマラソン界のエース。
●設楽悠太
2時間6分11秒の記録を持つ。7月のゴールドコーストで2時間7分50秒と好調。
●井上大仁
2時間6分54秒の記録。18年ジャカルタ・アジア大会金メダリストのは暑さに強く、耐久戦が予想されるMGCにも向く。
●服部勇馬
昨年の福岡マラソン覇者。記録は2時間7分27秒。課題の終盤で粘れるかが、ポイント。
そのほかでは、村澤明伸、佐藤悠基、神野大地などにも勝機があるとみられている。
■女子展望
混戦模様だ。
●鈴木亜由子
マラソン出場は1度だけながら、5000メートルや1万メートルで代表経験を持ち、安定感がある。
●松田瑞生
昨年9月のベルリンで2時間22分23秒。実力十分。
●安藤友香
日本歴代4位となる2時間21分36秒の自己記録を持つ。
そのほかでは、関根花観、福士加代子、一山麻緒、前田穂南、小原怜などの名前が挙がっている。
ファイナルチャレンジ
まずはMGCで、3枠のうちの2枠がMGCで決定。
3位以降の選手は、もう一度、ファイナルチャレンジで設定記録を上回る必要があります。もし、設定記録を上回る人がいなければ、MGCでの3位の人がオリンピックの出場権を獲得することになります。
男子
2019年12月1日 福岡国際マラソン
2020年3月1日 東京マラソン2020
2020年3月8日 びわ湖毎日マラソン
女子
2019年12月8日 さいたま国際マラソン
2020年1月26日 大阪国際女子マラソン
2020年3月8日 名古屋ウィメンズマラソン2020
- 男子… 2時間05分49秒
- 女子… 2時間22分22秒
この設定記録を上回った選手のうち、最も早い記録を出した選手が東京オリンピックの最後の1枠を獲得します。
男子選手の設定記録『2時間05分49秒』の基準となったのは、男子MGC代表の大迫傑選手(ナイキ)が2018年のシカゴマラソンで出した最速記録『2時間05分50秒』。
女子も同様に、MGC代表選手の中で最速の松田瑞生選手(ダイハツ)が2018年にベルリンマラソンで記録した『2時間22分23秒』よりも上回る『2時間22分22秒』を基準としています。
スピードがないと世界と渡り合っていけないという判断からの設定タイムでしょう。しかし、かなり厳しい設定タイムです。
まとめ
MGCは「タイム」は関係なく「順位」がすべて。それゆえの見どころがある。
気温も30度近くになると考えられるので、条件は厳しい。体力を温存すべく前に出て引っ張っていく選手もいないと見られるのでスローペースになっていく。実力のあるランナーは後半で勝負できるので、余計にスローな展開が予測される。
超スローな展開となると、先頭集団は大人数になるため、一発勝負の大逆転で、「4強」以外にもチャンスが出てきそうだ。
トップ選手たちがタイム無視で勝負にこだわる異色のレース。思わぬ結果が待っているかもしれない。
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