ユダヤ教では、神が天地創造の7日目に休息をとったという聖書の教えを基に、金曜の日没から土曜の日没までの間を聖なる日「安息日」【シャバット】と定める。
そこには、私たち日本人にはわからない、様々な「おきて」があるようです。
なぜ、安息日があるのだろうか?
旧約聖書の出エジプト記と申命記に出てくる「モーゼの十戒」には、4番目に安息日が書かれており、この聖なる日には何の仕事もしてはならないとされている。
神が定めたのが安息日なので、その日に体と精神を休めるのが最善とされているのです。
1948年のイスラエル建国まで世界中にちらばっていたユダヤ人にとって、安息日は民族のアイデンティティーを確認する役目も担ってきたとも言える。
「ユダヤ人が安息日を守ってきたのではない。安息日がユダヤ人を守ってきた。」そんな格言もある。
安息日には、ハラーと呼ばれる三つ編みのパンがワインと一緒に食卓に供されます。家長が祈りを捧げ、ナイフでカットし、塩を付けて家族に配り、食します。ほとんどはお店で購入し、家庭で作ることは少ないようです。

一切の「労働」が禁じられている
人口の約75%がユダヤ教徒のイスラエルでは、政府機関や役所、銀行、公共交通はすべて止まる。
敬虔なユダヤ人は、旅行はもちろん、車に乗らず、料理は作らず、電気器具は使用せず(またはスイッチをさわらず)、お金は使わず、ペンも持たず、この1日を他の週日と区別します。
さて、安息日に禁じられた仕事のことをメラハーと言いますが、耕すことと刈り入れ、あるいは火を焚くことなど、39種類の仕事を禁止されたものとして挙げています。
安息日には火の使用が禁止されていますが、電気は火の一種と拡大解釈をする人たちがいるのです。厳密な解釈では、ラジオもテレビも電気製品も使用できません。
正統派のユダヤ教徒なら、当然車は使用禁止です。しかし場合によっては許されると解釈する人が、保守派や改革派のユダヤ教徒にいます。シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)に歩いて行ける距離にいない場合は、「安息日の礼拝を守ること」のほうが大切だという理由からよしとしようとしています。

安息日の例外はあるの?
宗教指導者たちは、生死にかかわる問題は安息日に優先するという結論を下しました。
つまり、命を救うためには安息日を破ってもいいという律法ができました。何が何でも、安息日に労働禁止とか休息の律法を守れ、というのではなさそうですね。
戦争のような場合も、「安息日です。戦闘はしません」では敵に敗れてしまいますから、安息日の規定は守られなくても許されます。
つまり、「人命にかかわる」とみなされる場合だ。救急車や消防車、警察の車両などは出動を許される。そして、軍事行動もその一つだ。

安息日の一日
シャバットは17時頃に始まるが、店は通常14時には閉店し、交通機関も止まる。夜になると家族や親せきで集まり、手料理を食べて過ごすというのが一般的な過ごし方で、その料理の買い出しのため人々は金曜の午前から午後にかけて市場などで買い物をするため、その時間帯は人でどこも店はごった返している。
「労働しない」という考え方には、対価をもらうかどうかに関係なく労働とみるので、家庭で料理をしたり、ものを書くことやお掃除もしないことになる。
また電気を使わない。インターネットやテレビはみることができないし、安息日中は電気のスイッチに触れないのである。
日本人にとっては、本当に慣れないおきてのようですが、ユダヤ人にとっては、安息日は家族や友人たちと絆を確かめ合う。そんな大切な人なっているようです。

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