カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する動きが全国各地で加速する中で、首都圏の有力候補地として注目の集まっていた横浜市が、これまでの「白紙状態」を「誘致する」方針に転換した。
政府はIR整備を「成長戦略の柱」として位置付けており、東京五輪後の経済振興につなげていきたいとしている。
統合型リゾート施設(IR)とは?
この統合型リゾート(IR)はどういった施設かというと、
MICE施設(国会議事堂 / 展示施設など)
ホテル
劇場
映画館
アミューズメントパーク
ショッピングモール
レストラン
スポーツ施設
温浴施設(スパ / 銭湯など)
カジノ
…など様々な施設を取り入れた「複合観光集客施設」を指します。
「カジノクラブの面積は全体の3%まで」という規定が設けられているため、カジノ施設はあくまで統合型リゾートの一部分だという事になるわけですね。
シンガポールのマリーナベイサンズも統合型リゾート施設(IR)である。
日本の候補地はどこなのか
IR実施法案(カジノ法案)が無事に成立したため、政府は候補地の選定に入っていくところです。
直近の2020年には東京オリンピックの開催なども控えているため、候補地の確定はおおよそ2021年~2022年あたりになるという見方があります。
全国で3か所にするのではないかとみられています。
1.北海道(苫小牧)
2.東京(お台場)
3.千葉(幕張新都心)
4.神奈川(横浜・山下ふ頭)
5.静岡(牧之原市)
6.大阪(夢洲)
7.和歌山(マリーナシティ)
8.長崎(佐世保市)
9.沖縄(海洋博公園・美ら海)
日本のカジノを含むIR施設は、「首都圏1:関西1:地方1」と全国に分散する形で確定するだろう…とみられています。
- 首都圏:東京・千葉・神奈川
- 関西:和歌山・大阪
- 地方:北海道・長崎、沖縄、静岡
よって、それぞれのカテゴリーから、1つずつどの地域がIR建設を実現するのでしょうか。
また、2025年と言われているカジノ建設に向け、日本カジノ施設への投資会社を設立する、カジノ機器事業に参入するなどカジノ関連のビジネスチャンスをめぐって様々な企業が参入発表をしています。
- コナミ株式会社
- 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
- セガサミーホールディングス
- ダイナムジャパン
- SDエンターテインメント
などが名乗りを上げているとのことです。
なぜ、横浜市は誘致したいのか
8年後の2027年には、660億円の税収不足が予測されているらしい。
横浜市内の人口が19年をピークに減少に転ずると推計。高齢化が進む中、経済の活力低下や財政悪化が進むと見込んでいる。また、横浜は宿泊せずに日帰りする観光客が多く、1人あたりの観光消費額が全国と比べて少ないことが課題とし、「IRはこれまでにない経済的社会的効果が見込まれる」と期待している。
ここでカジノが誘致できれば、入場料収入や納付金収入などで年間600〜1400億円もの増収効果が見込めるという。まさに「一発逆転」だ。それだけに、横浜市としては、背に腹は代えられない思いなのだろう。
反対派の「ハマのドン」とはどんな存在なの?そしてなぜ反対なの?
〝ハマのドン〟との異名を持つ「横浜港運協会」の藤木幸夫氏(89)は誘致に大反対している。
藤木氏は、同協会の会長を務める傍ら、地元のFMラジオ局である「FMヨコハマ」社長や「横浜スタジアム」会長、そして「横浜体育協会」名誉会長などの要職に就くなど、政財界からは〝港湾のドン〟〝ハマのドン〟と呼ばれている。政界にも顔が広く、自民党の二階俊博幹事長(80)とも親交があり、菅義偉官房長官(70)の後ろ盾とも言われている。
よほどのことがない限り表舞台には出て来ることはなかった藤木氏が、横浜へのカジノ誘致問題に関しては表舞台に積極的に登場、「俺の目の黒いうちはカジノを作らせない!」と言い出したのはなぜなのだろうか?
「日本でカジノをやるといっても、入ってくるのは海外資本です。地元は無視され、蹴散らされる。海外資本が日本を食い物にして、儲からなくなったら箱物だけ残して立ち去る――そんな未来は目に見えています。」
「やはり依存症の問題ですね。日本社会病理学会の横山實前会長に話を聞きに行って、ギャンブル依存症がいかに危険かを学び、これは作ってはいけないと考えるようになりました。自分の子供に『カジノで遊んできなさい』って言えますか? 言えないものを横浜に作らせちゃいけない」
「アメリカの言いなりになっているのが透けて見えます。カジノ最大手『ラスベガス・サンズ』のオーナーであるシェルドン・アデルソン氏が、トランプ大統領の選挙を強力に支援したのは有名な話。日本にカジノを作りたがっているアデルソン氏の意を汲んで、トランプ大統領が安倍首相に依頼したのでしょう。トランプ大統領は安倍首相を日本の総理大臣としてではなく、アメリカの州知事の一人くらいの感覚で接しているんだと思います。政治家はみんな、カジノ構想の裏に、そんなアメリカの思惑があることはわかっているはず。でも、誰も発言しない。地元・横浜の議員もしかり。私ははっきり言います。横浜にカジノは必要ない。私が絶対に作らせません。カジノ無しで、山下埠頭を孫子(まごこ)に誇れるように開発します」
政治家だけが利権を握り、海外資本に食い物にされる――そんな未来は阻止しなくてはならない。
そんな思いから、強く反対をしているようなのです。
まとめ
これまで横浜市民はもちろん藤木氏の猛反対もあって「立ち往生」していたカジノ誘致だったが、正式表明したことで一気に突き進むことになるのか?「カジノには夢がない」とする藤木氏は、カジノ抜きの再開発を提案する新たな組織として「横浜港ハーバーリゾート協会」を立ち上げ、対抗していく構えのようだが、IRを積極的に進める政府、行政と市民とのこれからの行く末に注目してみたい。
コメントを残す